CASAICO彩漆工房のうるし教室(弘前市)

 
イベント&レッスンのページでは、
好奇心や興味を満たす魅力的な企画の数々をご紹介していきます。
初回は、「CASAICO彩漆工房」のうるし教室です
 
 
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青森県弘前市の城東地区に建つ「CASAICO(カサイコ)」は、セレクトショップ、アートギャラリー、漆塗の工房という3つのスペースから成り立っています。オーナーご夫妻は東北芸術工科大学のご出身。ご主人の葛西将人さんは店長として接客を担当し、奥さまの彩子さんは漆芸作家として活動する傍ら、工房で一般の方に漆塗りの指導をされています。
 
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セレクトショップでは、陶芸、漆芸、金工、染織、ガラスなどの作家の作品、デザイン性の高いプロダクト商品を販売。美術工芸に造詣の深いご夫妻が、製作姿勢に共感した全国の作家に声をかけて集めた作品、アート感あふれる雑貨が、季節ごとに入れ替えられています。
もちろん、彩子さんの作品にも、ここで出会えます。入り口を入ってすぐのスペースに、ジュエリー、器、オブジェなどが常設されているので、ぜひチェックを。オーダー製作も可能とのことです。
 
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また、弘前出身の将人さんの“ねぷた”狂いから誕生したオリジナル商品もあります。それは実際にお祭りで使用したねぷた絵をカットしてつくったポチ袋。鮮やかな色彩と、ロウが引かれたなめらかで透明感のある紙質が人気です。切り取る場所によって絵柄が違うのも、一期一会のお楽しみ。
 
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ひとつひとつ、ご夫妻で手づくりしているため、一度にたくさんはつくれません。展示が行われていないギャラリーの片隅で、大きなねぷた絵からポチ袋の用紙を切り取る作業が着々と行われていました。
ご興味のある方はお早めにショップへ。昨年のねぷた絵での製作はそろそろ終了が近づいているようです。
 
 
アートギャラリーは、さまざまな分野の作家の個展やグループ展、各種ワークショップ、小規模の発表会など、いろいろな用途で使われています。たとえば、趣味のサークルの仲間で作品展を開催したい、モノづくりをしている仲間で作品を持ち寄って販売してみたい。そうした希望がある方は、CASAICOのホームページでアートギャラリーのレンタルに関する詳細を確認し、問い合わせてみてください。
 
 
彩子さんが、「うるし教室」を主宰しているのは、漆の多彩な魅力をより多くの人に知ってもらいたいため。弘前でCASAICOをオープンするずっと以前から、出身地である仙台市で教室を開催していました。そして、その教室はいまも続いており、月に一度は仙台まで出向いて指導を続けているのです。
 
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現在、メインの教室は、ご自身が作品製作をなさるCASAICO内の工房の一画に設けられています。教室は少人数の予約制。参加者それぞれが、好きなアイテムを好きな技法で仕上げられるのが特徴です。彩子さんが、津軽塗りを含む、ありとあらゆる漆塗りについて、基礎から応用までていねいに指導してくださるので、初心者でも大丈夫。それぞれの過程を楽しみながら学ぶことができます。
下の作品は、80代の生徒さんの作品。和紙を貼った木地に漆を塗り、この上に書をしたため、金粉で仕上げるのだといいます。ご本人は「つくってもつくっても、仕上げるそばから、子どもたちが欲しいと言って持って行ってしまうから、手元に残らなくて」と苦笑しているのだとか。チャレンジ精神にあふれ、次々と新しい技術を学ぼうとなさる生徒さんとの出会いは、彩子さんの無情の喜び。こうした出会いがあるからこそ、やり甲斐を感じ、教室を続けていけるのだとおっしゃいます。
 
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将人さんのねぷた仲間のリクエストがあって始まった、ねぷたの笛に塗りを施す教室もあります。祭り好きの方にはたまらないオリジナルの笛づくり。この夏は、好きな色、好きな模様に塗った笛を吹いて、祭りに参加してみてはいかがでしょう。津軽塗りの多様な技法を駆使して、違ったタイプの笛を数本同時進行でつくってみるのも楽しいかもしれません。ちなみに、下の写真の笛は生徒さんの作品で、3本とも同じ方が製作されたとか。見ているだけで、津軽衆の祭りの血が騒ぐ仕上がりです。
 
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さらに、青森県内では珍しく、定期開催しているのはここが唯一であろう「金継ぎ」教室もあります。陶器や磁器、漆の器の欠け、ひび割れ、破損などを修復する金継ぎは、愛着のあるものを大切に使い続けたいという方なら、その楽しさにきっと目覚めるはず。繕ったことで、そのものの以前とは違った表情を見られるのも魅力です。つくった人の労を思い、形あるものの命を尊び、使い捨てにしないための先人の知恵。金で仕上げるだけでなく、さまざまな技法があります。
 
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この技術を習得したくて、青森市や十和田市から通っている方もいらっしゃるとか。こうして、さまざまなアプローチで、奥深い漆塗りの世界に入り口だけでも入ってみると、手間ひまかかる作業の連続に気づかされ、身の回りにある漆器や金で繕われた古い器がとても貴重で愛おしいものに思えてくるはずです。
 
4月後半のうるし教室のスケジュールをカレンダーにアップしました。詳細はイベント&レッスンのページに掲載しています。
 
 
CASAICO/カサイコ
Open 11:00〜19:00(12月〜3月/〜18:00)
火曜定休(その他、出張などによる休業はHPカレンダーでご確認ください)
Tel 0172-88-7574
青森県弘前市城東中央4-2-11
E-mail  info@casaico.com
HP  www.casaico.com
 
 
 
撮影/成田 亮
画像提供(ポチ袋)/CASAICO